投稿者名:タックルオフ工房
2017/11/04 閲覧数:5,696
こんにちは。
タックルオフ工房の曽根です。
当社の総務部「Iさん」より、「お祭りで使う笛をメタリックレッドで塗装してもらいたい」という依頼がありました。
「笛?釣り具じゃないじゃん…」と、断ろうと思いましたが、総務部とは仲良くしておいた方がいいから…ではなく同じ会社で働く仲間の為に快く受けることにしました(笑)。
塗装する笛の材質は「竹」のようです。横笛なので穴も開いています。
Iさんの希望は…
①色を濃いメタリックレッドに塗装してもらいたい
②エンド部分にオリジナルのネームを入れてもらいたい
という依頼です。
それでは作業手順に入ります。
まずは塗装の基本、下地作りから始めます。表面全体をペーパーでならします。
その後「サンディングシーラー」という下地用の塗料を塗ります。
これにより素材表面の凹凸を消すことができます。
今回面倒だったのが、「笛の穴」です。
インターラインの竿でもこんなに穴が空いていません…
とりあえず笛の中に塗料が入らないように紙を差し込み、さらに各穴にも写真のように紙を丸めて差し込んでおきます。
これを塗装のたびにやり直します。
さしっぱなしで何回も塗装をかけると、紙が塗料にくっついてしまうことがあります。
塗装したら硬化する前にはずしておきます。
↓エンド部分には別のロゴが入っていましたが、削って平らにしてあります。
↓艶があるところがサンディングシーラーをかけたところです。端の2cmは塗装不要の為塗っていません。
↓サンディングシーラーが硬化したら、やすりをかけ表面を平らにしていきます。
今回はメタリックレッドの塗装となります。
メタリックレッドの塗装方法は、そのままメタリックレッドの塗料を使う方法と、下地にシルバーを塗りその上にクリヤーレッドを塗る方法があります。
今回は後者のやり方で塗装します。
まずシルバーを…といいたいところですが、先に「黒」を塗ります。
黒でなくてもいいですが、表面の状態が確認しやすかったり、シルバーを塗るときのムラを見つけやすかったりするのと、ネームを貼るエンド部分も黒に塗る必要があったため今回は黒にしました。
また同じシルバーでも塗料によっては下地の影響を受けやすいものもあり、白と黒とでは仕上げりの質感が違ってくる場合もあります。
↓ウレタンブラックを塗ります
↓穴に挿してある紙をはずしてみたら、少し内側に塗料が入ってしまっていたので、溶剤をつけた麺棒でふき取ります
今回使用するシルバーは、地元静岡の塗装屋さん「ZEST」さんの「アルミ調塗料」を使用しました。
この塗料のすごいところは、とにかく粒子が細かい!
下地がつるつるの上に塗装すればメッキ調の仕上がりになり、下地にヘアラインを入れればアルミそのもののような仕上がりになります。
今回は塗装した黒を、#1500程度のマジッククロスにて処理していますので、どちらかといえばアルミっぽい仕上がりになります。
日に当ててみると質感がよくわかります。
次にクリヤーレッドを塗ります。
ここでもZESTさんの塗料「ステイン(レッド)」を使用します。
この塗料はこのままでは使用できません。
クリヤー剤に添加して使用しますので、今回はウレタンクリヤーに適量混ぜて使います。
この塗料は「下地が透ける」クリヤー系の塗料(染料)になります。
下地をシルバーで塗ることで、その質感を残した塗装ができます。
シルバーの上にクリヤーブルーを塗ればメタリックブルーになり、クリヤーイエローを塗ればゴールドになります。
この塗装の難しいところは、厚く塗ったところは色が濃くなる為ムラになりやすいです。
今回は濃いメタリックレッドに塗る為、多めに添加して塗り重ねていきます。
塗り重ねていくことでムラは消えていきます。
硬化後クリヤーを2回塗り、本体の塗装は終了です。
もう一つの依頼「ネーム入れ」に入ります。
↓まずはシールを印刷します。
通常のインクジェットプリンタでは出せない、金、銀、白といった印字ができる特殊なプリンターで作っています。
今回は金色で作成しました。
↓エンドに収まるようにカットしたら貼り付けます。
↓その上にしっかりと気泡を抜いたエポキシコーティング剤をたらし、表面張力でふくらみを持たせたまま硬化させました。
最後にしっかりと硬化していることを確認するとともに塗装面をチェックします。
案の定小さな「ブツ」が2、3個あったため、細かなペーパーで削り落としコンパウンド掛けして完成させました。
↓最後に日に当ててみましたが、メタリックの粒子が反射してなかなかいい感じでした。
ここまでのトータルの所要時間はおおよそ3~4時間くらいでしょうか?
一日に多くの塗装をする専門業者さんであればもっと手際よくやられるのかもしれません。
逆にもっと丁寧に処理するため、より時間がかかるのかもしれません。
私どもの工房では、そこまで塗装の依頼件数は多くないため、一つ一つ下地処理をしたりその都度塗料を配合することとなります。
当然その都度塗装用具の洗浄も行いますのでかなり手間がかかってしまいます。
今回釣り具でない「笛の塗装」を紹介させていただきましたが、決して通常作業としてお受けしているわけではございませんのでその点ご了承ください。
まあスタッフの依頼なので、「最悪失敗してもいいか~」くらいの気持ちでやってみました(笑)
このような塗装をご自分でやってみたい!といった方たちのご参考になればと思っています。
Iさんには作業時間から計算してそれ相応のお代を支払ってもらいます (*´罒`*)ニヒヒ
↓Iさんの釣行記↓
しばらくお待ちください