投稿者名:イシグロ浜松高林店
2022/12/14 閲覧数:3,527
イシグロ高林店 久保田です。
ルアーロッドや船竿はガイド交換したり、ソリッドを継いでソリッドチューンしたり、など、改造、チューニングできることはご存じの方が多いですが、実は振出竿も改造できるんです。
節と節の合わせ目、嵌合部のことを「コミ」と呼び、このコミ調整で節を入れ替えることが可能になります。
ただし、コミを合わせても、調子や素材が極端に違ったり、曲がりが不自然だと破損の可能性がありますのでご注意ください。
一番大事なのは計測すること。
現物合わせしながら削っていくのは非常にリスクが高く難易度が高いです。
元々合っていた節の外径を測ることでどれくらい肉盛りするのか、削ればよいのかがわかります。
おすすめはマイクロメーターです。デジタルノギスでも良いのですが、1/100ミリを安定して測れるので、何度も測る場合は楽です。
逆差しして、コミの長さを測ります。これは物差しで大丈夫です。
次は一番下の外径を測ります。
そして、コミの一番上の外径を測ります。
これでコミの長さ、コミの一番細い寸法と太い寸法がわかりました。
これに合わせて合わせたい節を加工していきます。
コミを太くする方法
元々の節より細いものを太くする場合は、肉盛りする必要があります。
簡単に手に入って作業のしやすい瞬間接着剤使います。
エポキシ接着剤でも良いのですが、硬化時間が長いですし、ほとんどのものは硬化後の硬さを瞬間接着剤と比べると柔らかいものが多いのです。
クリアファイルやコーティングされた厚紙に出して、塗って太くしていきます。
この時、必ず足付け、表面を荒らして瞬間接着剤を塗っていってください。
これをやらないとペロッと剥がれてしまうときがあります。
肉盛りですが、1ミリ以下であれば比較的簡単です。それ以上となるとかなりの回数、塗っていく必要があり、難易度が上がります。
その場合は、太らせたいコミにぴったり合う別の材料を接着して、それを削ってコミを合わせる方法もあります。
コミを細くする方法
肉盛りしすぎたり、細くすれば入る場合は、削っていきます。
先ほど計測した寸法通りになるよう、削っていきます。
よくある紙やすり、サンドペーパーを板に貼ったりしても良いのですが、ダイヤモンドの砥石であれば簡単に平らに削ることができます。
削って測っての繰り返しで、どれくらい削れば0.0何ミリ削れる、という加減がわかりますので、狙った寸法より少し手前まで削っていきます。
細い先端と太い後端と平らになるように削っていきます。
コミの長さのチェック方法
下から細いほうの節を入れで通常通り伸ばしてみます。この時、太い節の口からどれくらい出ているかを測ります。
抜いて、先端から先ほどの長さと比べれば、どれくらいコミがあるかがわかります。
外径はほぼ寸法通りに削ったのにちょっと合わない、という場合は表面のザラツキが原因で合わない場合があります。
フェルールワックスをごく薄く塗るとちょうどよくなる場合がありますのでお試しください。
問題なければすべての節を入れて伸ばしてみましょう。ガタツキがないか確認しましょう。
応用例として、
海上釣堀の振出竿の穂先をもっと柔らかくしたい
鮎竿の穂先を別の穂先に変えたい
磯竿の穂先を柔らかくしたい
前打ち竿の穂先を柔らかくしたい
#3から上を別の竿の節と入れ替えたいなどなど、いろいろなことができるようになります。
是非ご参考にしてください。
過去のビルディングブログはこちら。
ガイド取付、エポキシ編
EVA/コルクリーマーキット編
タイガーラップ編
抜き糸が効かないピンラインの巻き方編
エポキシコーティング編
仮止めとイージースレッド編
しばらくお待ちください